バドミントン観戦Tips

バドミントンの主に国際試合の情報、観戦に役立ちそうな知識など。リンクはご自由にどうぞ。

カテゴリ: WD

[追記 2018年8月世界選手権]

WD決勝 福島由紀/廣田彩花(日本)vs松本麻佑/永原和可那(日本) ドロー
 
 決勝でジア・イーファン/チェン・チンチェン(中国)ペアに敗れ涙を飲んだ2017年世界選手権から1年、第2シードから勝ち上がり再び迎えた決勝の相手は同じ日本の松本/永原。
 長身でパワフルな後輩たちをなんとか押さえ込みファイナルゲームも20-18のマッチポイント。
 悲願の世界チャンピオンは目の前…。

[世界ランキング1位]
2018年8月9日付世界ランキングでペア自身初の1位を達成した。

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 福島由紀(24歳、164cm、右利き)/廣田彩花(23歳、170cm、右利き)は日本の女子ダブルスペア。
 直近の世界ランキング(2017/10/26)は5位。
 2017年マレーシア・オープン(SSP)優勝。2017年世界選手権準優勝。

Badminton Unlimited 第199回所収
 

要約


 ※相変わらず英語から訳すのでもともと本人たちがしゃべってる日本語とは違ってしまうというマヌケな状態ですが(゚ε゚)キニシナイ!!

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 持久力、スピード、そしてパワー。現代のバドミントンの女子ダブルスはすべてのラケットスポーツの中でももっとも競争が激しいカテゴリーかもしれない。そのような中で日本はトップ10に4ペアも送り込むことに成功している。

 中でも世界ランキング1位の高橋/松友は最も有名なペアだが、世界の頂点を狙う位置に付けているもう1つのペアが日本の2番手、福島/廣田ペアだ。彼女たちは最近行われた世界選手権で、印象的な活躍を見せ、出場した日本ペアの中で最高となる準優勝を果たした。
Fukushima-Hirota001
 ↑福島(左) / 廣田(右)

廣田
「二人でメダルを目標にしていたので目標を達成することができてすごく嬉しいです。もちろん決勝で負けてしまったのでガッカリはしましたし、表彰台で銀メダルをもらうときに二人で表彰台の一番高い所に立ちたかったなと思ったりしたので、今は二人でもっともっと強くなっていきたいという気持ちが強いです。」

 東京のナショナルスポーツセンターで、現在世界ランキング5位の二人にグラスゴーで行われた世界選手権での素晴らしい活躍について話を聞いた。

 福島/廣田がペアを組み始めたのは4年前のことだ。2016年までに世界ランキング20位に入ることができた。
 そして2017年は世界的な注目を集める年になった。2017年はドイツオープン(GPG)優勝を皮切りに、2ヶ月後にはマレーシアオープンでSSプレミアの初優勝を飾り、一流選手の証と言っても良い世界ランキングのトップ10入りを果たした。

 彼女たちも存在を知られるようになったが、世間の注目はまだ高橋/松友に集まっていた。世界選手権では高橋/松友のほうに大きな期待が掛かる中、福島/廣田はそれほどプレッシャーを感じることなく、この重要な大会に臨むことができた。

世界選手権の福島/廣田の試合結果一覧

福島
「初めて出場する世界選手権だったので楽しみにしていましたし、それほどプレッシャーを感じませんでした。1試合目はさすがに緊張したんですが、その後試合を減るごとに落ち着いてプレーできるようになっていきました。」

 二人のプレーも試合を重ねるごとに良くなって行き、準々決勝では韓国の1番手、チャン・イェナ/イ・ソーヒーを2時間近い試合の末に下している。
 準決勝でもまた、ヨーロッパの1番手ペアであるユール/ペダーセンを相手に、ファイナルゲームまでを戦うスリリングな勝利を飾った。


福島
「ユール/ペダーセンは身長も高いですし、コート全体をカバーする力も高いペア。コーチたちにも注意するように言われましたが、大きなリードを許さないでついていくように心がけました。前日私たちは長い試合を戦っていましたが、デンマークペアもそうだったので、スタミナが勝負を分けると思っていました。そして自分たちは試合の流れを支配されないようにすることができました。」

 もう一方の準決勝で高橋/松友が敗れたため、日本人が優勝するという使命は福島/廣田ペアに託された。

廣田
「まず、あのデンマークペアに初めて勝てたことがすごく嬉しかったです。そしてもう1試合、決勝を戦えるということにとても興奮しました。」

福島
「廣田も言ったようにデンマークペアに初めて勝てたのは嬉しかったし、日本人が世界選手権の決勝に40年ぶりに進出したということを聞かされて、そのこともとても夢のようだったし、すごいことを成し遂げたんだなと思いました。」

 2日連続でのへとへとになるような試合の次に待っていたのはパワフルで攻撃的な中国ペアのチェン・チンチェン/ジァ・イーファンだった。福島/廣田はこの相手に残る力のすべてをぶつけなければならなかった。試合はまたしてもファイナルゲームまでを戦うことになった。


廣田
「正直今振り返ると第1ゲームを守りきれていたら試合に勝てたかもしれないと思います。第1ゲームはリードして進めることができましたが、終盤になって集中力を欠いてしまい、リードを守りきることができませんでした。ラリー中にもうちょっと我慢することができたら勝つチャンスがあったかなと思います。
 相手が高い打点でシャトルを捉えて攻撃的に打って来たときに、自分たちも強気に反撃するべきでした。第2ゲームを取り返して、続くファイナルゲームの序盤で相手にもっとプレッシャーを掛けられればよかったかなと思います。」

 もっと違う試合にできたのではないかという後悔はあるものの、それでも彼女たちと日本にとっては大きな出来事だった。
 高橋/松友が銅メダルを獲得したため、日本からは2ペアが表彰台に登った。
 しかし世界選手権の銀メダルは福島/廣田ペアにとってはまだ始まりにすぎない。

福島
「世界選手権初出場で準優勝という結果はとても嬉しかったし、一気に自信が付きました。決勝で負けたのはもちろん悔しくてガッカリしましたし、初出場で優勝できていたら凄くカッコよかっただろうなと思いました。次に決勝に進出できたときは勝ちたいです。」

 ここまで一気に急上昇してきた福島/廣田ペアにはその機会はきっとあるだろう。

動画

2015年 スコティッシュオープン[GP]

試合一覧
2回戦 vs ジュリー・フィン・イプセン/マイケン・フルーガード(デンマーク)
WD決勝 vs サマンサ・バーニング/アイリス・タベリング(オランダ)


2016年 ニュージランドオープン[GPG]

試合一覧
WD準決勝 vs セトヤナ・マパサ/グローニャ・サマヴィル(オーストラリア)
WD決勝 vs チャン・イェナ/イ・ソーヒー(韓国)


2017年 ドイツオープン[GPG]

試合一覧
WD準決勝 vs イザベル・ヘルトリッヒ/カルラ・ネルテ(ドイツ)
WD決勝 vs フアン・トンピン/リ・インフイ(中国)


2017年マレーシアオープン[SSP]

試合一覧
・WD決勝 vs フアン・ヤーチョン/タン・ジンファ(中国) ハイライト
Fukushima / Hirota vs Huang Yaqion / Tang Jinghua
消されました。

[追記 2018/7/11]
 けっきょくこの件の真偽について確証はなかったのですが(なら訳すなって感じですが…)その後ユールについてこのようなニュースが。
 えーっと、ということは…。
 可能性(1)下のニュースは嘘。すみません。
 可能性(2)別に矛盾しない。寛容の世界。

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 Badzineなどが(まだ)報じていないので若干内容の真偽に不安が残ります。
 報じていないのはいちいち大騒ぎするほうがカッコ悪いということでしょうか…?
 さすがに全くのデマというわけでもなさそうなので訳します。

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 カミラ・リタ・ユール(33歳、183cm、左利き)/クリスティナ・ペダーセン(31歳、178cm、右利き)はデンマークの女子ダブルスペア。リオ五輪銀メダリスト。リオ五輪決勝での高橋/松友との名勝負は記憶に新しい。直近の世界ランクは4位。

 ↓2016年リオ五輪から1月後のジャパンオープンで。

「カップルであることはバドミントンをプレーする上で役に立っている」
同性愛関係を告白したデンマークペア
'Being a couple helps us play better': Danish badminton partners after announcing relationship - The Local dk - 2017-10-10

[訳]
 デンマークの女子ダブルスペアが8年間秘密にしていた同性カップルの関係を公表した。

 クリスティナ・ペダーセンとカミラ・リタ・ユールがTV2(※デンマークのテレビ局)に語ったところによれば、彼女たちは「コートの外での関係」を公表したことでどうなるか、今はもう心配していないという。

 二人はこの数年間では世界で最も素晴らしい女子ダブルスペアの一つだと言ってよいだろう。
 2012、2014、2016、2017年の欧州選手権に優勝。2015年インドネシアで行われた世界選手権で準優勝(※なぜかリオ五輪銀メダルに触れていない)。現在世界ランクは4位である。

 この火曜日(※2017/10/10)に放映されたTV2の番組‘Go’ morgen Danmark’の中で彼女たちは2009年から同性愛の関係にあったことを明らかにした。

 彼女たちによれば、公表に踏み切ったのには2つの理由があるという。

カミラ・リタ・ユール
「1つ目の理由はクリスティナと私は、同性愛ではなく、このスポーツで成し遂げたことで注目されたいと思ってたということです。」

クリスティナ・ペダーセン
「私たちはバドミントンの実力で認知されたかったんです。そして今はもう十分に認知されていると思っています。だから同性愛の関係を公表するときが来たと思いました。」
 ↑2017年の世界選手権から(左ユール/右ペダーセン)

 2つ目の理由は身の安全の問題だという。
 彼女たちがプレーする国では同性愛の選手であることが潜在的な問題になる国は多い。

ユール
「私たちが準備ができるまで同性愛の関係を公表しなかったのは、スポーツという面で言えば身の安全の問題からです。特定の国ではプレーしないという選択ができるような立場になるまで待つ必要があったのです。」

 関係を公表することがスポーツという面でどのような結果を招くかは今のところ不明確ではあるが、今の自分たちには特定の国ではプレーしないという選択は可能だ、と彼女たちは語る。

ペダーセン
「実際のところ、私たちをどんなことが待ち受けているかは分かりません。でも私たちがこれまでもそうであったのと同じように、バドミントン選手としてみんなが見てくれると信じているし、そうあってほしいと思います。
 考えられる最悪な事態は生命に対する脅迫にさらされることで、もしそういうことが起こるなら、(そういうことが起きるような国の)トーナメントには出場しないことも考えなくてはならないでしょう。私たちは今はもう、いくつかのトーナメントを欠場しなくてはならないのならそうするということができる立場にいると思っています。」

 2人は1年のダブルスパートナーを経て2009年から同性カップルの関係にある。2人ともそれ以前は同性のパートナーはいなかった。

ペダーセン
「私たちが女子ダブルスで成功できている理由の一つはカップルであることだと思います。私たちはお互いとても愛し合っていますし、いっしょに女子ダブルスをプレーすることも愛しています。
 私たちがコート上でプレーしているのを楽しんでいるように見えているとしたら、それは実際まったく見せかけではありません。私たちは本当にバドミントンを一緒にプレーし経験できていることを心から素晴らしいと思っています。私たちは結局のところバドミントンをプレーすることは素晴らしいと思っている2人の女の子にすぎないんです。」

せっかくなので見て差し上げましょう。

2017年全日本社会人WD準々決勝
藤井 瑞希/垣岩 令佳(熊本) vs 江藤 理恵/山口 ソヨカ(岐阜)
35分あたりから

 ご存知ロンドン五輪WD銀メダリスト藤井/垣岩。
 そこに至るまで諦めたことなど無かったでしょうがあえて。
 「諦めたらそこで(略」






 その一方で、とか言って比較に出して悪いんですがw
 こちらはマレーシアペアの素晴らしいラケットチェンジ。
 ミックスのラリー中、男子のラケットのガットが切れたそのとき…

2017年スディルマン杯 グループ1C マレーシアvs日本(試合一覧)
XD タン・キアンメン/ライ・パイジンvs渡辺勇大/東野有紗から

そのラケットチェンジは新しい!
女子の動き方にためらいが無いので、これは前もって決めてあったんでしょう。
理屈は分かりますが、そんなこと決めてあるのがすごい。
これは今年の国際バドのベストラリー候補でしょう。
ちなみにこのXDはマレーシアペアが勝ちましたが、団体戦としては日本が勝ちました。

 高橋礼華(26歳、164cm、右利き)/松友美佐紀(24歳、160cm、右利き)は日本の女子ダブルスペア。リオ五輪金メダリスト。世界ランク1位、SS7勝。

 
2014年SSファイナル優勝。2016年全英オープン(SSP)優勝、インドネシアオープン(SSP)優勝、デンマークオープン(SSP)優勝。

Badminton Unlimited第149回(2016/11/09)所収。
Takahashi-Matsutomo004
[要約]
・ 2016年8月18日、高橋/松友はペアを組んで10年目にして五輪優勝の夢を果たした。
・日本がバドミントン競技で金メダル獲得したのはこれが初めてのことだ。

高橋礼華
「・優勝できたのはそのときはもちろん信じられなかったし、すべてが夢のようで今でも信じられない。
・何かとても凄いことを成し遂げたんだという風に思っている。」

・タカマツペアのリオへの旅は4年前に始まった。
・当時の世界ランキングは20位で日本人ペアとしては4番手であり、ロンドン五輪には出場できなかった。
・しかし今振り返ってみると実はそれで良かったのではないかという。

松友美佐紀
「・ロンドン五輪は出場できなかったがその時は実力が足りなかった。
・それからしだいに良いプレーができるようになり、トップクラスの相手ともいい勝負ができるようになっていった。
・(2014年の)ドバイSSファイナルにも勝つことができた。
・スーパーシリーズで何勝かして世界ランキング1位になることもできた。
・上手く行かない時期もあったがただ我慢あるのみだった。
・そこで耐えることができたおかげでリオ五輪では良い試合ができたのだと思う。」

・二人をトップペアに押し上げたのは厳しい練習であることは間違いないだろう。
・二人の成功を一番喜び、二人のこれまでを一番良く見守ってきたのはコーチだ。
NakashimaKei001
中島慶(日本代表女子ダブルスコーチ)
「・世間はリオ五輪だけを見て凄いと思うだろうが、ここまで来るのは長い道のりだった。
・簡単にチャンピオンになる方法はなく、一つ一つの階段を登っていくしかない。」

・2015年はタイトルは1つしか取れなかったが、2016年はそれを埋めて余りある活躍だった。
・2016年はリオ五輪前に格式の高い全英優勝を含め3勝している。
・昨年末4位まで落ちた世界ランキングでも1位に返り咲いた。
ParkJooBong002
パク・ジュボン(日本代表ヘッドコーチ)
「・二人も初めてのオリンピックで少し緊張していた。
・松友が緊張している試合もあれば高橋がうろたえる試合もあるだろう。
・しかし二人とも良いプレーができないという試合は無かった。
・一方がダメな時は他方がそれをカバーすることができたのが良かった。
・二人はお互いのことを良く知っていて、いつも堅いパートナーシップがあった。」

・10年ペアを組んできてお互いを良く知っていることがリオでの成功につながった。
・リオ五輪決勝は長身でパワーもあるユール/ペダーセン(デンマーク)との対戦となった。
・タカマツペアは第1ゲームを落とすものの、第2ゲームを取り返し1-1とする。
・ファイナルゲームはデンマークペアが優勢に進め、十分な点差をつけて優勝目前まで迫った。

高橋
「・ファイナルゲームは16-19となったがそこでもまだ楽観的だった。
・ここから追いついて優勝できたら凄いなという気持ちだった。」

【NHKリオ】髙橋・松友の大逆転 ノーカットで最後の5ポイントをお伝えします

パク・ジュボン
「・松友はネット際のプレーが、高橋は後衛の攻撃的なショットが素晴らしく、それが二人のプレースタイルだ。
・それと同時に二人ともディフェンスが本当に良かった。」

・二人はそこから反撃し5点連続得点で逆転勝利し日本初の金メダルを獲得した。
・優勝の瞬間は選手もコーチも喜びを爆発させた。

高橋
「・嬉しいと泣いてしまう性格なので、今まで経験したことがなかった表彰台での国歌を聞いたときは、とても感動した。」

松友
「・表彰台に登った時はやはり他の大会とはまた違った感慨があった。
・他の大会で優勝したときは国歌は流れないので、五輪の表彰台で国歌を聞いたときは泣き出してしまった。」

・そして二人はこのメダルを二人とおなじくらい喜んでいる特別な人に捧げることができた。

高橋
「・中島コーチは私達が高校を卒業したあとからずっと面倒を見てくれた。
・そしてその後も中島コーチ、松友、私の3人で乗り越えて来ていると思う。」

松友
「・全然勝てなかった時期にも、中島コーチは『いつか必ず勝てる』と言って一緒に居てくれた。
・そうでなかったら代表から外れていたかもしれない。
・何年も私達を信じてくれた中島コーチに本当に感謝している。」

中島慶
「・優勝の瞬間は生涯の夢が現実になってとても嬉しかったし、これまで受けたいろんな恩を返すことができたと感じた。」

・高橋/松友ペアは生涯の夢を叶え、その名を歴史に刻んだ。
・しかしさらなる向上を止めるわけではない。

高橋
「・もちろん私達の最大の目標はオリンピックで勝つことだったが、まだ勝っていない世界選手権もある。
・世界選手権ではベスト16が最高なのでそれを上回るようにできるだけ多く勝って、金メダルを取りたい。」

・来る2017年の世界選手権もリオ五輪のように優勝してくれるだろう。

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この4年については高橋/松友のこれまでを高橋のtwitterで振り返る(1) 2012年以下を参照してください。


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