バドミントン観戦Tips

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カテゴリ: WS

タイ・ツーイン(Tai Tzu Ying)は台湾の女子シングルス選手。22歳、身長163cm、右利き。直近の世界ランキング(2017/05/11)は1位。2016年の賞金王です。

 直近2年ほどの戦績

 2016年のリオ五輪はベスト16位と振るいませんでしたが、同じ年の終盤から翌年半ばに掛けて、連続した6回のメジャーイベントを全て優勝という凄い戦績です。
 負けた試合はSSファイナルズのグループリーグの対スン・ジヒュン(韓国)戦の1敗のみで、その結果30戦29勝1敗です。優勝した大会は以下のとおり。

 2016香港オープン(SS)
 2016SSファイナルズ(SSF)
 2017全英オープン(SSP)
 2017マレーシアオープン(SSP)
 2017シンガポールオープン(SS)
 2017アジア選手権(SS格)

 以下のインタビューももちろんその話です。

Badminton Unlimited 第174回所収。

・スーパーシリーズに5連勝し、最近ではアジア選手権も優勝したタイ・ツーインがその結果を誇らしく思っているのは当然のことだろう。
・最近の彼女はキャリアでベストと言って良いプレーをしており、この好調は注目に値する。
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タイ・ツーイン
「どの大会も勝てると思っていたわけではありませんが、いつも自分のベストを出し切れるようにしようと思っています
 それは良い試合を見たいと思ってやって来た観客をガッカリさせたくないからです。」

・昨年から連勝が続いていたが、香港オープンの優勝で世界ランキングで五輪チャンピオンのカロリナ・マリン(スペイン)を抜いて1位に躍り出た。

タイ・ツーイン
「香港オープンに出場する前、周りの多くの人たちが世界ランキングのポイントを計算して、香港オープンに勝てば世界ランキング1位になること教えてくれました。
 準決勝の対戦相手はカロリナ・マリンでした。彼女はとても手強い対戦相手ですから、仮に負けるとしても相手をできるだけ苦しめたいと思っていました。簡単に負けたくありませんでした。
 その試合に勝ち、また周りのみんなが期待してくれた通り決勝戦にも勝ち、世界ランキング1位になることができました。
 世界ランキング1位は特に目標としていたわけではありませんが、ベストのプレーを続けることができた結果ですから嬉しいです。」

・昨年の11月から、台湾のエースとして女子シングルスのヘッドラインを飾り続けている。母国台湾での注目はもちろんのことだ。
・周囲の人々の騒ぎとは逆に、タイ・ツーインは控えめで、世界ランキング1位にはしゃいでいるわけではない。

タイ・ツーイン
「世界ランキング1位になったことはゴールの一つというわけではありません。よいパフォーマンスを続けた結果で1位になることができたというだけのことです。
 1位をどれくらい保持し続けることができるかということもあまり問題ではありません。1位だからと言って、すべての試合に勝てるようになったわけではないからです。
 一つ良かったことといえば試合前に選手紹介をされるときに『世界ランキング1位の』と呼ばれるようになったことでしょうか。
 1週間か10年間かはともかく、保持している限り世界ランキング1位と呼ばれるわけですが、そう呼ばれてみるとやっぱり嬉しいものです。」

・タイ・ツーインの才能あふれるフェイント(deceptive shot)は対戦相手やそのファンにとっては悩みの種だ。
・本能的なフェイントのプレーで優位に立てることは彼女も分かっているが、一方でそれに失敗してしまうとリズムや自信を失ってしまうことも確かだ。
・今はできるだけそういうプレーを減らそうと考えているという。
・彼女によれば一生懸命フットワークをして試合中にバランスや安定感を保つことが好調のカギだったという。

タイ・ツーイン
「フェイントに頼るのではなくもっと正統派のプレーをしたいと思っています。
 今では対戦相手も私がフェイントが得意であることを知っています。
 もっと安定感のあるプレーをしてミスを減らし、ミスのせいで負けるようなことを減らしたいです。
 私はとても頑固な性格で、調子が悪い時にミスをしても同じショットにこだわり続けてしまって、同じミスを繰り返して失点を重ねてしまうという悪い癖がありました。
 今では調子が悪い時はフェイントを使うのは避けるようにしています。」

・スーパーシリーズ5連勝はまれに見る戦績だ。
・しかしタイ・ツーインは結果よりも、試合の中でどういうプレーをできるかという、内容の方に重点を移しつつある。
・それは、勝たなければならないというプレッシャーの中にいるよりも、よりリラックスしている方が上手く行くことが分かってきたからだ。

タイ・ツーイン
「結果よりは過程を重視しています。
 練習の中でかなり努力をしていますが、試合に簡単に勝ったようなときは、練習でやったことを試すことができません。
 試合に負けることもあるが、そういうときは練習でやっていたことを試してみて、そしてより大きな目標を実現したいです。」

・新女王の彼女は8月に行われる世界選手権では有力な優勝候補だろう。
・しかし世界選手権での活躍を期待してるファンはガッカリすることになりそうだ。


タイ・ツーイン
「今年の世界選手権は欠場することになると思います。
 今年は母国台湾で行われるユニバーシアード(world university games)に出場するからです。
 台湾がこのような大きな大会のホスト国になるのは初めてのことなので、台湾に残って手助けをしたいと思います。
 何かを得るためには何かを諦めなければなりません。
 世界選手権は毎年ありますが、台湾が大きな大会を主催することはこれまで何年も無かったことです。
 この大会に参加しなかったら後悔すると思います。
 次の年の世界選手権までこの好調が維持できると期待しています。」

・彼女のプレーを世界選手権で見られないのは残念だが、どんな試合に出ても彼女の不思議なプレーが私達を楽しませてくれることは確かだろう。


動画

2016香港オープン
決勝 vsプサルラ・V・シンドゥ(インド)


2016スーパーシリーズファイナルズ
グループリーグ vsラチャノック・インタノン(タイ)
グループリーグ vsスン・ジヒュン(韓国)
準決勝 vsスン・ユ(中国)
決勝 vsスン・ジヒュン(韓国)


2017全英オープン
準々決勝 vsプサルラ・V・シンドゥ(インド) 
決勝 vsラチャノック・インタノン(タイ)


2017マレーシアオープン
準決勝 vsスン・ジヒュン(韓国)
決勝 vsカロリナ・マリン(スペイン)

2017シンガポールオープン
決勝 vsカロリナ・マリン(スペイン)

2017アジア選手権
決勝 vs山口茜 ハイライト


 山口茜は日本の女子シングルス選手。直近の世界ランキングは6位(2017-03-02)。19歳、156cm、右利き。
 世界ジュニア2連覇、アジアジュニア優勝、スーパーシリーズ3勝。
 過去のデータや動画については「山口茜 WS国際試合データ[2012-2014] & BWF公式全動画」を参照。

Badminton Unlimited 第158回 (2017-01-10)所収。


[要約]
・同じ日本人の奥原希望が世界的な活躍をする一方で、もう一人の有望な日本人選手が山口茜である。
・ 2016年リオで五輪初出場。その後のスーパーシリーズでは韓国・デンマークで連勝を飾っている。
・ 2016年は自己最高の世界ランキング7位で終えた。
・ドバイSSファイナルズ開催中のインタビューで、山口は2016年を振り返り、また2017年の展望について語ってくれた。
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山口茜
「・どの大会でも自分の思うようなプレーがたくさんできて、試合自体も楽しめたので、それがいい結果につながったのだと思う。
・自分のいいところは試合を楽しめることだと思うのでそれができたことが一番良かったなあと思う。」

・2013年、16歳でシニアトーナメントのジャパン・オープンに初優勝し脚光を浴びた。
・日本人選手の母国での国際トーナメント優勝は38年ぶりのことだった。
・世界ジュニア優勝2回、アジアジュニア優勝1回という成績から、活躍が期待される選手として2度エディ・チューン賞受賞している(Eddy Choong Most Promising Player of the Year)
・しかしジャパン・オープン以降、2度目のシニアトーナメント優勝までには3年待たなくてはならなかった。
・リオ五輪を経験したことで次のレベルに進むためのモチベーションを得ることができたという。

山口茜
「・2016年の前半はあまり自分の思うようなプレーができなかったが、オリンピックの少し前からいいプレーができるようになってきて、オリンピックは自分の力を出しきることができた。
・力をだしきったのに負けてしまったので、自分はまだまだ力不足でやらなければといけないことが多くあるといいうことが分かった。
・オリンピックのあとは多くの選手が休養を取ったが、自分は練習したい気持ちが強かったので、他の選手に比べれば少し多く練習した。
・たぶんその貯金があったので韓国オープンとデンマークオープンに優勝できたのだと思う。」

・韓国オープン[SS]では第7シードからだったが、準決勝では同じ日本人の三谷美菜津に勝ち、決勝は前年優勝者で地元期待のスン・ジヒュンとの対戦となった。
・山口よりずっと身長が高いスン・ジヒュンも、執拗で容赦なくラリーを勝ちに行く山口のプレーの前に屈することになった。

山口茜
「・攻撃的なプレースタイルで思いっきり向かっていった。
・第1ゲームは落としたが、自信を持ち続けなくてはいけないと分かっていたので、攻撃的なプレーを続けた。
・相手はそういうプレーを嫌がっているに違いないと思っていた。」

・山口は次のデンマークオープン[SSP]でも大物を倒している。
・準々決勝では同じ日本の奥原に、準決勝ではリオ五輪金メダリストのカロリナ・マリン(スペイン)に勝っている。
・決勝では台湾のタイ・ツーインとの対戦になったが、山口は持ち前の粘り強さで相手を苦しめた。

山口茜
「・相手はオールラウンダーでショットのバリエーションも多い選手なので、何度もフェイントに引っかかった。
・でも自分はどんなにトリッキーなショットでも我慢してシャトルを追い続けることができた。
・そのうちトリッキーなショットも返せるようになり、相手にプレッシャーを掛けることができた。そして相手もミスをするようになった。
・諦めずに忍耐強く我慢することで、相手のショットを返せるようになって、劣勢を挽回できてとても良かった。」

・我慢強さはおそらく山口の最も良い点の一つだろう。
・我慢強く好機を待って逆襲に転じ、最後は相手を倒してしまう。
・コートの中では物静かだが、隠し持っていた攻撃的なショットを解き放ち、観衆の喝采と賞賛を浴びる。
・才能は申し分ないが、ファンは山口のあることを見たいと思っているだろう。
・それは山口は勝利のガッツポーズを見せるのか、それとも見せないのかということだ。

山口茜
「・別に自分の感情を抑えようとしているわけではなく、単に自分はそういう喜びを見せるようなタイプの人間ではないだけだ。
・そういうことをするほど大胆ではないし、シャイな性格なので試合に勝ったときも少しドキドキしているので、本当にそういうことができないだけだ。
・でもこれからもっと勝つことができて、勝つことに慣れてきたら、今より感情を表現して勝利を喜ぶことができるようになるかもしれない。」

・シャイであることを克服するチャンスは今後も多くあるだろう。
・2017年は山口にとってエキサイティングな年になりそうだ。
・山口は出身地の勝山市のために頑張ることを誓いこれまで長いあいだ戦ってきた。
・ジュニアレベルで天才的な能力を見せてきたが、現在はシニアレベルでも戦えることを示している。
・現在多くの注目を浴びているが、山口は慎重ながらも楽観的であり、頂点を目指すことを焦ってはいない。

山口茜
「・まだまだ自分は若いので、一つ一つの試合を挑戦だと思って戦っている。
・コートの中では出し惜しみをせずすべてを出しきれるようにしたい。
・結果にこだわらずベストを尽くして1点1点を戦いたい。
・とにかく自分の100%を出し切りたい。
・2017年は出場した試合でコンスタントに最低でも準々決勝、できれば準決勝に進出できるようにしたい。
・良い成績をおさめることでみんなに知られるようになり、世界中に自分のサポーターができたらいいなあと思う。」

動画

2016韓国オープン[SS]
決勝 vs スン・ジヒュン(韓国)
 

2016デンマークオープン[SSP]
準決勝 vs カロリナ・マリン(スペイン)
 

決勝 vs タイ・ツーイン(台湾)
 


年齢選手名(国籍[その国で何番手か] 生年月日)
42カミラ・マーティン(デンマーク 1974-03-23)
41ジャン・ニン(中国 1975-05-19)
40ワン・チェン(中国/香港 1976-06-21)
39ゴン・ジーチャオ(中国 1977-12-15)
38
37ツォウ・ミー(中国/香港 1979-02-18) / ティネ・バウン(デンマーク 1979-07-21) / ミア・アウディナ(インドネシア/オランダ 1979-08-22)
36
35シェー・シンファン(中国 1981-01-08) / ゴン・ルイナ(中国 1981-01-23)
34ユリアナ・シェンク(ドイツ 1982-11-26)
33ウォン・ミューチュー(マレーシア 1983-5-01)
32ズー・リン(中国 1984-10-29)
31カリン・シュナーゼ(ドイツ[1] 1985-02-14) / 廣瀬栄理子(日本 1985-03-16) / ロン・シェーファー(アメリカ[3] 1985-10-06) / ワン・シン(中国 1985-11-10)
30チェン・シャオチー(台湾 1986-01-04) / 今別府香里(日本[7] 1986-09-07)
29ルー・ラン(中国 1987-05-02) / リンダ・ゼトチリ(ブルガリア[1] 1987-07-27) / イップ・プイイン(香港[2] 1987-08-06)
28ワン・イーハン(中国[2] 1988-01-18)
27ワン・リン(中国 1989-03-30) / マリア・フィービー・クスマストゥティ(インドネシア[1] 1989-09-30) / オルガ・コノン(ドイツ[2] 1989-11-11)
26リンダウェニ・ファネトリ(インドネシア[2] 1990-01-18) / ワン・シーシャン(中国[3] 1990-02-13) / サイナ・ネワル(インド[1] 1990-03-17) / 橋本由衣(日本[6] 1990-05-14) / ベイウェン・チャン(アメリカ[2] 1990-07-12) / ペ・ヨンジュ(韓国[2] 1990-10-26)
25リ・シュエルイ(中国[1] 1991-01-14) / テー・ジンイ(マレーシア[1] 1991-02-08) / 佐藤冴香(日本[3] 1991-03-29) / ニチャオン・ジンダポル(タイ[4] 1991-03-31) / パイ・ユ・ポ(台湾[2] 1991-04-18) / シュー・ヤチン(台湾[3] 1991-07-30) / スン・ジヒュン(韓国[1] 1991-07-29) / 三谷美菜津(日本[5] 1991-09-24) / ポーンティップ・ブラナプラサットスク(タイ[3] 1991-10-24) / ミシェル・リー(カナダ[1] 1991-11-03)
24高橋沙也加(日本[4] 1992-07-29) / ベアトリス・コラレス(スペイン[2] 1992-12-03)
23チュエン・ガンイ (香港[1] 1993-04-27) / カロリナ・マリン(スペイン[1] 1993-06-15) / カースティ・ギルモア(スコットランド[1] 1993-09-21)
22スン・ユ(中国[4] 1994-02-28) / リーネ・キャエルスフェルト(デンマーク[1] 1994-04-20) /タイ・ツーイン(台湾[1] 1994-06-20) / アイリス・ワン(アメリカ[1] 1994-09-02)
21ラチャノック・インタノン(タイ)(タイ[1] 1995-02-05) / 奥原希望(日本[1] 1995-03-13) / プサルラ・V・シンドゥ(インド[2] 1995-07-05) / キム・ヒョミン(韓国[3] 1995-12-08)
20ブサナン・ウンバンルンパン(タイ[2] 1996-03-22)
19山口茜(日本[2] 1997-06-06)
18ポンパウィー・チョチュウォン(タイ[5] 1998-01-22)

 男子に比べると引退は早めですかね。
 ワン・リンのケガでの引退は本当に惜しい。
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  2015年12月31日の世界ランク上位40人+αを対象。
 年齢は2016年12月31日時点のものです。
 今年の誕生日を迎えた人はこの年齢+1歳になります。
 赤字は国際試合のレベルで現役の選手。

 パート1はこちら

 世界ジュニアの動画って上がってたんですね。
 今回初めて気づいたのでリンクします。

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 2010年世界ジュニアでは(試合一覧WSドロー)では多くの接戦に競り勝って決勝まで勝ち上がり、決勝ではラチャノック・インタノン(タイ、のちに2013年世界選手権に最年少優勝)と対戦しています。

2010年世界ジュニア選手権WS
決勝 松友美佐紀vsラチャノック・インタノン(タイ)


準決勝 松友美佐紀vsスオ・ディ(中国) こちらは5分程度と短いです。
 
 
  決勝は[13-21 21-16 10-21]で敗れ、準優勝でした。
 ドローを見ると他の出場選手としてはにカロリナ・マリン、PVシンドゥ、タイ・ツーインらの名前があります。日本からは福万尚子、峰歩美、高橋沙也加。
 それにしても桃田と組んでミックスに出ていたとは知りませんでした。

 世界ジュニアでこのレベルまで行く選手はたいてい世界のトップクラスまで行きますから、松友もシングルスを続けていれば、いまごろ奥原や山口といい勝負をしていたかもしれませんね。金メダルを取れたかどうかは分かりませんが。

 松友は社会人になって2年目くらいで本格的にダブルスを選択しています。想像ですが、やっぱり身長に不安があったのではないかと思います。今でこそ160弱の奥原や山口が世界トップで戦えていますが、しばらく前の時代の女子シングルスと言えば、中国の175cmの長身選手がシャトルを打ち合ってるスポーツでしたから。


[ラチャノック・インタノン]
 近年のタイの女子勢の強さを象徴する存在。
 2009年、14歳で世界ジュニアに最年少優勝。
 2010年、15歳で世界ジュニア2連覇。決勝の相手は松友。
 2011年、16歳で世界ジュニア3連覇。
 2013年、18歳で世界選手権に最年少優勝。

2013年世界選手権WS
決勝 ラチャノック・インタノン(タイ)vsリ・シュエルイ(中国、2012年ロンドン五輪金メダリスト)



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