バドミントン観戦Tips

バドミントンの主に国際試合の情報、観戦に役立ちそうな知識など。リンクはご自由にどうぞ。

カテゴリ: MS

[追記]
2019年6月13日、リー・チョンウェイの引退が発表されました。
引退を発表したリー・チョンウェイからのメッセージ 2019/06/13


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 マレーシアバドミントン協会が、欠場が続いているリー・チョンウェイの状態について、公式に発表した。



チョンウェイ、経過は順調

 "リー・チョンウェイに対する最近の報道を受け、マレーシアバドミントン協会(BAM)は彼が早期の段階の鼻のガンと診断されたことを認める。

 チョンウェイは治療を受けるため台湾にいるが、喜ばしいことに治療はうまく行っており、現在は家族や親しい友人たちに囲まれ、休息と回復につとめている。チョンウェイに成り代わり、祈りを捧げまた心配していただいたすべてのマレーシア人に感謝したい。みなさんのサポートはいつも彼の強さと勇気の源となってきた。

 すべての人に彼と家族のプライバシーを尊重するよう強くお願いしたい。BAMはチョンウェイと常に連絡を取り合い、我々のレジェンドに対し可能なことならどのような手助けでもするつもりだ。"

BAM会長 ノルザ・ザカリア
2018年9月22日 クアラルンプール

CHONG WEI RECOVERING WELL - BAM(Badminton Association of Malaysia) - 2018/9/22

※原文のチョンウェイと会長の名前の前に付いている"Datuk"や"Dato’ Sri"は国王や州のスルタンなどから贈られる尊称とのこと。イギリスで言うところのナイトの称号のようなものだろうか。

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 リー・チョンウェイ選手の一刻も早い回復と復帰をお祈りします。

 チョンウェイは7月上旬のインドネシア・オープン準決勝の桃田戦を最後に公式試合に出場していない。7月下旬の世界選手権は棄権、8月下旬のアジア大会も欠場していた。当初は「呼吸器系の疾患」によるものとの報道だった。

2018年インドネシアオープン[Lv2]MS準決勝 vs桃田賢斗


 上記大会の1週前、母国マレーシア・オープンの決勝では桃田を下し優勝している。これは最近の桃田が喫した数少ない敗戦の一つでもある。

2018年マレーシアオープン[Lv3]MS決勝 vs桃田賢斗


MS準決勝 vsヴィクター・アクセルセン(デンマーク)


 桃田賢斗がリンダン(中国)に今回2018年ジャパンオープンの準々決勝で初勝利した。
 対戦は2015年の全英オープン以来2度目。

 桃田復帰後では初の対戦であり現ワールドチャンピオンvsレジェンドの好ゲームが期待されていた。
 しかしリンダンはコンディションが悪いのか、ときおり彼らしいプレーは見せるものの全体として動きは鈍く淡白なプレーに終始し、スコアは桃田[21-8 21-10]で内容的にも桃田が完勝した。
 ドローはこちら
 リンダンはコメントにもあるようにタイの若手、台湾のチョウ・ティエンチェンを相手にフルで戦って疲労しているのだろうが…。

 ともあれこれで世界トップクラスには、桃田が勝ったことのない相手・勝ち方が分からない相手はいなくなったと言って良いだろう。

インタビュー

桃田賢斗 準々決勝 (vsリンダン) プレー&インタビュー Smash & .Net.TV


[1]PHETPRADAB ON A ROLL – DAY 4: DAIHATSU YONEX JAPAN OPEN 2018  BWF 2018/09/14
[2]JAPAN OPEN QF – Momota beats his idol  Badzine 2018/09/04

[2]も[1]とほぼ同じ内容なので、たぶん同じ内容の日本語の記事もあると思います…。
以下はBWF公式の記事から。

桃田賢斗

「長いラリー勝負が多くなることは分かっていた。
パニックにならないようにすること、そして自分のペースに持ち込むことを確実にこなす必要があったが、すべて予定していたとおりにうまく行った。
自分にとって日本でプレーするのは特別だし、勝ちたい気持ちもふだん以上に強い。」

「リンダンは子供の頃からのあこがれの選手で、試合前は対戦できることにとても興奮していたし、勝つために頑張ろうという思っていたが、その両方の気持ちをコントロールすることができた。
コートに入ったときは相手より自分の方がうまくやれるんだと自分に言い聞かせた。
そして試合を通じて強い気持ちを持ち続けることができたし、だからこそ我慢強くプレーすることができたのだと思う。
子供の頃からリンダンの試合を見続けてきた。
彼のプレーを研究しているときは彼の戦術を予想することでより早くスムーズに動けるようにしようと思っていた。
今回の勝利は自信になった。
しばらくはそういう気分に浸っていたいが、明日にはまた厳しい試合が待っている。
ベストの状態で望めるように準備したい。」[1]

リンダン

「前の2試合で疲労し今日の試合にはスタミナが十分残っていなかった。
桃田の方が動きが速かった。
桃田のプレーはとても良く、ミスもほとんどなかった。
ジャパンオープンで彼と対戦したことで彼のプレーを分析することができて良かったと思う。
今後彼とはもっと対戦することがあるとは思うが次の対戦では自分ももっと速いプレーをするつもりだ。」[1]

過去の対戦

 過去の対戦は1回だけあり前回の対戦は2015年の全英オープン準々決勝。
 ドローはこちら
 スコアはリンダン[21-18 21-19]桃田賢斗
 

リンダン全盛期

 リンダンの有名な試合動画としては、2008年北京五輪決勝2011年世界選手権決勝2012年ロンドン五輪決勝などがよく知られているが、↓の2010年アジア大会決勝のリンダンのプレー(特に第1ゲーム)もまたすさまじい。

 
 アジア大会は4年に1回の開催だが、この4年前の2006年ドーハ大会ではリンダンは決勝でタウフィック・ヒダヤットに敗れている。2010年大会は中国の広州で行われることもあって必勝の覚悟で臨んだ大会である(ちなみに2014年のインチョンアジア大会も決勝でチェン・ロンを下しリンダンは優勝している)。
 なお対戦相手はすべてマレーシアのリー・チョンウェイ。間違いなくリンダンと並び立つ超一流なのだが…。

 ちなみになぜいま全盛期のリンダンの話かというと、現時点で桃田が強すぎるために、やや気の早い話だが、かつてのリンダンと比較してどうかという話が海外フォーラムなどでもそろそろ真面目に語られ始めているからである。

[準決勝] → 桃田、リー・チョンウェイに初勝利。チョンウェイ、チェン・ロンのコメント。 [2018/04/29]

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 2018年4月29日、桃田はアジア選手権決勝でリオ五輪金メダリストのチェン・ロン(中国)に勝利し優勝を果たした(男子シングルスでは日本人初)。
 チェン・ロンとの対戦成績はここまで0-4で1ゲームも取ったことが無かったが、今回5戦目で初勝利した。
 

[1]MOMOTA IS THE NEW BADMINTON ASIA CHAMPIONSHIPS MEN'S SINGLES CHAMPION - Badminton Asia 2018/04/30
[2]MOMOTA, TAI REIGN SUPREME – FINALS: BADMINTON ASIA CHAMPIONSHIPS 2018 - BWF Fansite 2018/04/30

要約

 桃田賢斗がアジア選手権にノーシードから優勝し、バドミントンの世界トップのシーン(big scene)に復帰を果たした。[1]

桃田賢斗
「復帰緒戦の2017カナダオープンの決勝では同じ日本の常山(幹太)選手に負けたが、そのときは自分のプレースタイルや能力(form and ability)に自信を持てなくなっていた。」[2]

「チェン・ロン選手への勝利の意味は大きい。
自分のバドミントンにはまだまだ可能性があることを見せることができたと思う。
バドミントン界の2人のビッグネーム(準決勝のリー・チョンウェイ、決勝のチェン・ロン)を倒したのは素晴らしいことで、夢のようだ。」[1]
「彼らに追いつくためにもっと頑張らなくてはならない。」[2]

「今日は大きなリードを築いたときにも油断できなかった(had to be mentally strong)。もし油断していたら追いつかれていただろう。」[2]

「この勝利は僕の選手生活を通していい時も悪い時も支えてくれた人たちに捧げたい。
そしてその人たちに感謝したい。
いまは今後の自分のバドミントンのキャリアにいいことが起こることを期待している」[1]

チェン・ロンについては「身体能力も精神力も強い選手だ」と付け加えた。
「アジア選手権チャンピオンになれたが満足はしていない。
もっと勝ちたいし世界一位になるという夢を叶えるためにもっと努力していくつもりだ。」[1]

チェン・ロン
「第1ゲームの14-12となったあたりでペースを崩してしまった。
桃田はとても辛抱強く、プレッシャーが掛かる展開でもゲームプラン(strategies)通りにプレーしていた。
自分にはいくつかミスがあり4、5点は失ってしまった。それがなければ連覇できていたかもしれない。」[1]

チェン・ロン別ソース
[3]Kento Momota shocks Chen Long to win 2018 Asia Championships title - BadmintonPlanet.com

「第1ゲーム14-12とリードしていたところで桃田は突然テンポを上げ、自分は無防備になってしまい連続失点してしまった。」


その後

2018年5月 トマス杯

決勝MS1 桃田賢斗(日本)vsチェンロン(中国)
 
 このほぼ1ヶ月後のトマス杯決勝でチェンロンと再戦し勝利しています。ただ第2ゲームの途中はややもつれ、ここで踏ん張っていなければ難しい試合になったかもしれません。

 この試合、桃田は第1ゲームから攻撃的なプレー(特に相手のボディを狙ったスマッシュなどが印象的)で、最近の桃田のプレーの質を測る上で非常に重要な試合と言えると思います。

2018年10月 フレンチオープン

MS準決勝 桃田賢斗[1]vsチェン・ロン(中国)[6]
 
桃田は前週のデンマークオープンを優勝し疲労は否めない。今回は完敗。チェンロンもリオ五輪以降はあまり目立った活躍がなかったが、ようやく再起動か。

2018年11月 中国(福州)オープン

MS準決勝 桃田賢斗[1]vsチェン・ロン(中国)[6]

復調してきたチェンロンとの激突は今シーズンのMSベストゲーム候補。
リンダンvsチョンウェイ以来の好カード誕生を期待させた試合。

[決勝] → 桃田、チェン・ロン、アジア選手権優勝後のコメント [2018/4/30 アジア連盟公式]

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 2018年4月24日から行われているアジア選手権[Lv4]の準決勝で、桃田はマレーシアのリー・チョンウェイを下した。4年ぶり2度目の対戦での初勝利。


対戦前

Chong Wei braces for stern test against Momota in semis - The STAR(マレーシア) 2018/04/28

リー・チョンウェイ
「桃田とは対戦したことはあるけど、だいぶ前のことだからね(2014年全英オープン以来)。」
「武漢での試合はホームのような感じだ。ここには僕のファンが多いから。」

対戦後

Chong Wei gives Japanese opponent the thumbs-up - The STAR(マレーシア)  2018/04/28

[要約]
チョンウェイが対戦相手を褒めることは珍しいが、昨日のアジア選手権準決勝での敗戦後、桃田の今後について太鼓判を押した。

「去年、桃田とアクセルセンがバドミントン界を制することになるだろうと予想しておいたと思う。
じっさい桃田はいい方向に向かいつつある。」
「桃田は最後に対戦した4年前にくらべて本当に進歩している。
(昨日の試合では)第1ゲームは19-16とリードして、あのゲームは僕が取れたかもしれなかったが、そこからの桃田は粘り強かった。」
「彼はいいバドミントンをしている。彼は若いし、コート上では意志の強さを見せている。」
「今こういう若い選手たちがステップアップしてバドミントン界をとても面白くしている。
僕にとってはだんだん厳しくなるけどね。今年は本当に厳しい1年になるだろう。」

これからチョンウェイはバンコクで(5/20から)行われるトマス杯決勝に集中することになる。

別ソース

内容は一部かぶりますが別ソース
リー・チョンウェイ
「桃田とは今回が2回目の対戦だったが、今日の桃田のプレーはとてもよかった。

第1ゲームは僕が19-16でリードしていたが、その後簡単に点を取られたのがとてもまずかった。桃田はネット際でのプレーが並外れて良く、スピードも僕より速かった。

桃田については出場停止になる前からオールラウンドに優れた選手だと思っていた。
今回は出場停止開けでは一番格の高い試合だったと思う。

昨年デンマークのリポーターに聞かれたときには"将来的には桃田とアクセルセンが主なライバルになるだろう"と答えておいたよ。」

チェン・ロン(もう一方の準決勝でH.S.プラノイ(インド)と対戦)
「プラノイと僕はともに準々決勝では3ゲームを戦って(いたので疲れて)いた。
プラノイは第2ゲームで逆襲しようとしていたが、僕は自分のペースを守り、少しプレーを修正することで、試合に勝つことができた」

「桃田はとても才能ある選手で、バドミントンに対する理解も深い。
明日の決勝で勝つためには今日の試合以上に頑張る必要がある」

その後

 チョンウェイのホーム、マレーシアでの対戦では決勝で敗れたが、インドネシア・オープンの準決勝では勝利している。

2018年第26週(6/26-7/1) マレーシアオープン[Lv3]
MS決勝 リー・チョンウェイ(マレーシア)vs桃田賢斗(日本)
 

2018年第27週(7/3-7/8) インドネシアオープン[Lv2]
MS準決勝 リー・チョンウェイ(マレーシア)vs桃田賢斗(日本)


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