バドミントン観戦Tips

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カテゴリ: MS

[準決勝] → 桃田、リー・チョンウェイに初勝利。チョンウェイ、チェン・ロンのコメント。 [2018/04/29]

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 2018年4月29日、桃田はアジア選手権決勝でリオ五輪金メダリストのチェン・ロン(中国)に勝利し優勝を果たした(男子シングルスでは日本人初)。
 チェン・ロンとの対戦成績はここまで0-4で1ゲームも取ったことが無かったが、今回5戦目で初勝利した。
 

[1]MOMOTA IS THE NEW BADMINTON ASIA CHAMPIONSHIPS MEN'S SINGLES CHAMPION - Badminton Asia 2018/04/30
[2]MOMOTA, TAI REIGN SUPREME – FINALS: BADMINTON ASIA CHAMPIONSHIPS 2018 - BWF Fansite 2018/04/30

要約


 桃田賢斗がアジア選手権にノーシードから優勝し、バドミントンの世界トップのシーン(big scene)に復帰を果たした。[1]

桃田賢斗
「復帰緒戦の2017カナダオープンの決勝では同じ日本の常山(幹太)選手に負けたが、そのときは自分のプレースタイルや能力(form and ability)に自信を持てなくなっていた。」[2]

「チェン・ロン選手への勝利の意味は大きい。
自分のバドミントンにはまだまだ可能性があることを見せることができたと思う。
バドミントン界の2人のビッグネーム(準決勝のリー・チョンウェイ、決勝のチェン・ロン)を倒したのは素晴らしいことで、夢のようだ。」[1]
「彼らに追いつくためにもっと頑張らなくてはならない。」[2]

「今日は大きなリードを築いたときにも油断できなかった(had to be mentally strong)。もし油断していたら追いつかれていただろう。」[2]

「この勝利は僕の選手生活を通していい時も悪い時も支えてくれた人たちに捧げたい。
そしてその人たちに感謝したい。
いまは今後の自分のバドミントンのキャリアにいいことが起こることを期待している」[1]

チェン・ロンについては「身体能力も精神力も強い選手だ」と付け加えた。
「アジア選手権チャンピオンになれたが満足はしていない。
もっと勝ちたいし世界一位になるという夢を叶えるためにもっと努力していくつもりだ。」[1]

チェン・ロン
「第1ゲームの14-12となったあたりでペースを崩してしまった。
桃田はとても辛抱強く、プレッシャーが掛かる展開でもゲームプラン(strategies)通りにプレーしていた。
自分にはいくつかミスがあり4、5点は失ってしまった。それがなければ連覇できていたかもしれない。」[1]

チェン・ロン別ソース
[3]Kento Momota shocks Chen Long to win 2018 Asia Championships title - BadmintonPlanet.com

「第1ゲーム14-12とリードしていたところで桃田は突然テンポを上げ、自分は無防備になってしまい連続失点してしまった。」

[決勝] → 桃田、チェン・ロン、アジア選手権優勝後のコメント [2018/4/30 アジア連盟公式]

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 2018年4月24日から行われているアジア選手権[Lv4]の準決勝で、桃田はマレーシアのリー・チョンウェイを下した。4年ぶり2度目の対戦での初勝利。


対戦前

Chong Wei braces for stern test against Momota in semis - The STAR(マレーシア) 2018/04/28

リー・チョンウェイ
「桃田とは対戦したことはあるけど、だいぶ前のことだからね(2014年全英オープン以来)。」
「武漢での試合はホームのような感じだ。ここには僕のファンが多いから。」

対戦後

Chong Wei gives Japanese opponent the thumbs-up - The STAR(マレーシア)  2018/04/28

[要約]
チョンウェイが対戦相手を褒めることは珍しいが、昨日のアジア選手権準決勝での敗戦後、桃田の今後について太鼓判を押した。

「去年、桃田とアクセルセンがバドミントン界を制することになるだろうと予想しておいたと思う。
じっさい桃田はいい方向に向かいつつある。」
「桃田は最後に対戦した4年前にくらべて本当に進歩している。
(昨日の試合では)第1ゲームは19-16とリードして、あのゲームは僕が取れたかもしれなかったが、そこからの桃田は粘り強かった。」
「彼はいいバドミントンをしている。彼は若いし、コート上では意志の強さを見せている。」
「今こういう若い選手たちがステップアップしてバドミントン界をとても面白くしている。
僕にとってはだんだん厳しくなるけどね。今年は本当に厳しい1年になるだろう。」

これからチョンウェイはバンコクで(5/20から)行われるトマス杯決勝に集中することになる。

別ソース

内容は一部かぶりますが別ソース
リー・チョンウェイ
「桃田とは今回が2回目の対戦だったが、今日の桃田のプレーはとてもよかった。

第1ゲームは僕が19-16でリードしていたが、その後簡単に点を取られたのがとてもまずかった。桃田はネット際でのプレーが並外れて良く、スピードも僕より速かった。

桃田については出場停止になる前からオールラウンドに優れた選手だと思っていた。
今回は出場停止開けでは一番格の高い試合だったと思う。

昨年デンマークのリポーターに聞かれたときには"将来的には桃田とアクセルセンが主なライバルになるだろう"と答えておいたよ。」

チェン・ロン(もう一方の準決勝でH.S.プラノイ(インド)と対戦)
「プラノイと僕はともに準々決勝では3ゲームを戦って(いたので疲れて)いた。
プラノイは第2ゲームで逆襲しようとしていたが、僕は自分のペースを守り、少しプレーを修正することで、試合に勝つことができた」

「桃田はとても才能ある選手で、バドミントンに対する理解も深い。
明日の決勝で勝つためには今日の試合以上に頑張る必要がある」

 [追記 2017/12/13]
 重要:2018年からSSは「レベル2」(全英など)や「レベル3」などに改組されるが、
Badpalによればこれらの大会では予選が廃止されるとのこと。よって桃田が2018年の全英に出場するには32位ていどのランクが必要ということになる。
 一方で、日本代表以外の選手にとっては、これまで以上に代表とのポイント差を縮めるのが難しくなる。日本バドミントン協会が、国際大会に優先的にエントリーされる代表選手の人数枠を拡大したのに加え、今シーズンまでは「門戸が開かれていた」唯一のSS、自国開催のジャパンオープンも、レベル3(SSプレミア相当)に格上げ(=賞金総額倍増)されたことで予選もなくなり(※)、出場は実質的に不可能となった(※レベル2とレベル3は予選廃止。レベル4の予選枠は男子シングルスで16、その他種目で8まで)

Top shuttlers to face tough 2018 under obligation to participate 12 - Badpal 2017/12/11
 ↑ 赤字は引用者。
 レベル2や3などがどの大会かということについてはカレンダーを参照。

 私は予選が廃止されることを知らないで以下の記事を書きましたので、その内容は2017年以前の仕組みに拠っており、2018年以降の予測には直接には使えません。
 
ただレベル4(インドオープンなど)のMSについてはこれまで通りなので、多少は似た感じなるかもしれません。

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 MS(男子シングルス)でSS(スーパーシリーズ※)に出場できるのは世界ランキング何位くらいからだろうか?もちろん桃田が出られるかどうかという関心から調べたわけである。

 結論から言うと、大会にもよるが、本選から出るには28~35位以上予選から出るには44~55位以上は欲しいところである。詳細は下記。

(※2018年からSSはレベル2~4などに改組され呼称も変更される)

基本的な仕組み

↓2017全英オープンMS本戦トーナメント
tournament32MS

↓2017全英オープンMS予選トーナメント
tournamentQ16MS
 通常SSの本戦は32人(または32ペア。以下MSの話なので人で統一する)のトーナメントだが、本戦から出られるのは28人で、残り4枠は予選を勝ち上がった者に残されている。
 予選は16人で争われるので、2試合して勝ち残った4人が本戦に出られるわけである。
 たとえば2017年全英オープンの本戦予選のトーナメントは上図のようになっている。

要するに…
・エントリーした者のうちランク上位28人は本戦(Main)から出られる。
 →世界ランク28位以上なら確実に本戦から出場できる。
・エントリーした者のうちランク上位29~44人は予選(Qualifying)から出られる。
 →世界ランク44位以上は確実に予選以上で出場できる。

・エントリーは6週間前に締め切られるのでその直前のランクによる(日程表はこちら)。
・さらにメインのうち上位8人はシードされる。
・ちなみにSSプレミアについては世界ランク上位10人は出場義務がある。

2017年の全英オープンのエントリー状況


 さて実際はランキング上位の全員がエントリーするわけではない。
 2017年の全英オープンのエントリー状況は下のとおりであった。

↓ M&Qレポートver4、最終版
 開幕は3月7日、基準となる世界ランキングは1月26日
2016AllEnglandMS-MQ
 さすが全英オープン、Mの28人目は世界ランキング30位である(表の右から3列目がエントリー時の世界ランク)。つまり2人を除いて上位30人のすべてがエントリーしたわけである。単純に2人ケガだったのかもしれない。

 しかし予選(Q)になると途端に抜けが多くなり、44人目は世界ランク60位の西本拳太であった。
 2017年だけを見て判断するのは危ないが、昨年どおりなら60位以内であれば2018年3月の全英オープンには予選から出られるということになる。

 さらに実際には直前の棄権などが出るため、さらに若干名がリザーブ(R)から持ち上がることになる。このときの全英オープンでは本選で1人、予選で3人が直前で棄権したため、4人がリザーブから持ち上がった。

[追記]
全英のQ16人目は世界ランキング何位だったか調べてみると
・2016年 → 61位(ちなみに田児)。[.xlsx]2016年全英M&Qレポートver4
・2015年 → 57位
・2014年 → 64位
やっぱり60位くらいあれば(予選からだが)出場できるのではないだろうか。

2017年のSSすべてを見てみると


 …という感じで2017年のすべてのSSについて最終版M&Qレポートをまとめると下記の通り。
MQ-MS-004
 大会名が赤字になっているのはSSプレミアで、他はSS。

 メインから出られるのは世界ランクが平均33.17位以上。
 インドネシアオープンは唯一上位28人全員がエントリー。

 予選から出られるのは世界ランクが平均107.17位以上。
 この中で中国オープンの358位を除外した平均は84.36位、さらに韓国オープンの157位も除いた平均は77.1位であった。

 大会によって結構違うので、予選の平均はあまり役に立たず、各大会ごとに通年の平均を取るほうが役に立つだろう。誰かやってください。

 終わり。

 → 桃田賢斗の2017年 その1 [5月復帰-10月]
 復帰以来マカオオープンまでで40戦39勝1敗、現在33連勝中。
 桃田はスーパーシリーズはここまで4勝しているが、実はグランプリゴールドは今回が初優勝である。
 また日本人がマカオオープンで優勝するのは初めてとのこと。

格下相手の戦い方

 これまで数ヶ月の格下相手に取ってきたプレースタイルは、無理をせずラリーを長くし徐々に形勢を良くしていき仕留める、またゲームの要所ではペースアップし積極的にラリーに勝ち、ゲームを勝つというものです。

 →桃田賢斗のこれまでを振り返る [2017年(1) 5月復帰以降]

 極端な話、19-19までついて行きさえすれば、次の2点だけ本気を出してそのゲームを取れば勝てるのです。そこまではペースをおさえてついて行けば、実力で上回りますしすべてのショットで技術が高いので、相手が先にミスってくれたりします。リスクを抑えて確実に勝つスタイルです。
 逆に自分から主導権を取って攻めて行くプレースタイルは、意外に相手がレシーブを頑張って粘られてしまい、自分からミスしたり消耗したりして格下相手に苦戦することもあります。

 格下相手の確実な戦い方は桃田に限ったことでなく、リン・ダンなども普通にやります(リン・ダンにとってはほとんどの相手は格下ですが。また桃田は復帰以前は同格の相手にもそういう戦い方をすることは結構ありました。その場合はさすがに15-15くらいから勝負に出ます。)。

マカオオープンは違う戦い方で

 しかし今大会は復帰以降では一番格の高い大会で、格下ではあるけれど油断できないレベルの選手が出てきます。それらの選手を相手にどう戦うのか?
 桃田は試合序盤から手抜きなしの本気でした。3回戦以降はストレート勝ちの完勝に次ぐ完勝です。ちなみに1,2回戦は
「会場の風が強くてコントロールが難しく、1、2回戦はあまりいい戦い方ができなかったが、途中からしっかり脚を使って対応できた」サンスポ - 2017-11-13
とのこと。

11月 マカオオープン[GPG]

桃田のマカオオープン試合一覧

決勝

動画 - 決勝ハイライト vs イーサン・モーラナ・ムストファ(インドネシア)


 ムストファはインドネシア"若手四天王"の一人。
 他の3人はジョナタン・クリスティ、アンソニー・ギンティン、ファーマン・アブドゥル・コーリック。
 2015年の東南アジア大会(団体戦)のシングルスは当時18-20歳のこの4人で回し優勝している。

[第1ゲーム]
 ムストファはネットの勝負に強く、厳しいヘアピンで桃田の浅いロブを誘い、スマッシュで仕留めるという形を得意とし、序盤は互角の展開となる。
 しかし桃田もすぐに反撃する。6-5からのラリーではヘアピンを読んで飛びつきプッシュを決め、ムストファのヘアピンを牽制する。これでムストファもネットでの戦いにプレッシャーを感じたのか徐々に桃田がリードを広げ前半を11-6で折り返す。

 後半13-8くらいから再びムストファのヘアピンが冴え始め13-12まで迫る。しかし14-12でネットの争いからムストファがヘアピンを浮かしてしまい、桃田が簡単にプッシュで決める。また15点あたりから桃田もこのゲームを決めるためにペースアップする。

 終盤ムストファもネット勝負ではなくコート全体を広く使う展開で反撃し、17-14からの長いラリーを取りもう一波乱あるかと思われたが、最後は桃田のフェイントの利いたヘアピンが決定打となり桃田がこのゲームを奪った。

[第2ゲーム]
 先にゲームを失ったムストファは第2ゲーム序盤でしっかり反撃しなければならない。
 桃田は第1ゲームを取った余裕からか、それともネット勝負にこだわる必要がないと見切ったのか、タッチの早い攻撃的なロブ中心の配球でムストファをコートの奥に追いやり始めた。
 もちろん桃田はヘアピンの牽制も怠らない。2-0からのラリーではムストファがヘアピンをネットに掛けてしまうが、桃田は「ちょっとでも浮いたら叩くぞ」と威嚇する。
 ムストファはアタックロブ中心の展開が意外だったのか苦手なのか、全く対応できず押し込まれてしまい、浅いクリアを上げたところを桃田が簡単にスマッシュで決める。
 追い込まれたムストファはミスを連発してしまう。7-0からのラリーでは浅いドリブンクリアの強打に逃げるも桃田は完全に読んでおり、簡単にブロックされてしまう。あっという間に11-2と桃田が試合をほぼ決めてしまった。

 以下、桃田も若干集中を欠きイージーなミスが出る。ムストファも得意のヘアピンで反撃するものの、試合をひっくり返すには遠く、桃田の快勝となった。

[はっきり言って]
 安定して今大会のようなプレーができるなら現時点でも世界トップを相手に戦えるでしょう。
 復帰前より明らかに強いです。衝撃的な強さです。
 しかしその機会は来年3月の全英まで無い…(?確認中)

準決勝

 vsイ・ヒュンイル(韓国)

 北京五輪、ロンドン五輪のセミファイナリスト。
 30代後半にも関わらず近年SSなどでも活躍し、10月のデンマークオープン[SSP]ではなんと準優勝している。老練な試合巧者。

 そのヒュンイルに対し、桃田は常に主導権を握りプレッシャーを掛け続けます。自分のショートサーブに対し相手が甘いロブを上げたれば飛びつき、3打目をズバズバとスマッシュを決めます。連続得点で大差をつけました。ほとんど何もさせずに完勝です。

準々決勝

 vs常山幹太(日本)
 復帰以降では唯一敗けていた相手です(カナダオープン決勝)。そのときは無理に攻めず長いラリー勝負で、結果的には(たぶん)体力敗けしています。
 今回は主導権を握ってきっちりストレート勝ちしました。スマッシュも一発では決まりませんが、ネット際に戻ってきた球をクロスヘアピンで鮮やかに詰め切るシーンが印象的でした。
「前回負けていてやりづらいイメージがあったが、挑戦者の気持ちで臨んだ。前回は自信なく、ただ相手のコートに打ち返していたが、今回は強く返す積極性が強く、スピードを上げることで常山選手にプレッシャーを掛けることができた」サンスポ - 2017-11-13

今後の展望

続く


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