バドミントン観戦Tips

バドミントンの主に国際試合の情報、観戦に役立ちそうな知識など。リンクはご自由にどうぞ。

カテゴリ:国際大会の仕組み等 > 賞金

 [2017/12/09追記]
 このページは古い記事です。

 結論については正式に発表された2018年のカレンダーを見たほうが早いです。


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 BWFから2018-2021年のトーナメントの体制について発表がありました。
 BWF LAUNCHES NEW EVENT STRUCTURE - BWF Fansite 2017-03-19

現状の格付けや賞金については以下を参照。
バドミントンの種目・国際試合の種類
試合の種類(BWFの規定)
スーパーシリーズの賞金総額一覧

 発表によれば新しい体制として大会は6つのレベルに分けられ、レベル1のSSファイナルの賞金が150万ドル、レベル2の3試合が100万ドル、以下の大会についても大きな変更があります。
 元の記事では国名のみしか書いていないため、(?)を付けたものは私の推定です。

従来SSPの5大会 従来SSの7大会
レベル大会2018年からの賞金総額
(最低限度額)
[USドル]
2017年の賞金総額
[USドル]
2017年までの
大会の格
1SSファイナルズ1,500,0001,000,000SSF
2インドネシアオープン1,000,0001,000,000SSP
中国オープン700,000SSP
全英オープン600,000SSP
3デンマークオープン700,000750,000SSP
マレーシアオープン600,000SSP
ジャパンオープン325,000SS
フレンチオープン325,000SS
中国マスターズ(?)150,000GPG
4韓国オープン350,000600,000SS
香港オープン400,000SS
シンガポールオープン350,000SS
インドオープン325,000SS
タイオープン(?)120,000GPG
マレーシアマスターズ120,000GPG
インドネシアマスターズ(?)120,000GPG
5オーストラリアオープン150,000750,000SS
台湾オープン200,000GPG
ドイツオープン(?)120,000GPG
インド(シド・モディ国際?)120,000GPG
韓国マスターズ(?)120,000GPG
ニュージーランドオープン(?)120,000GPG
スイスオープン120,000GPG
タイマスターズ(?)120,000GPG
USオープン(?)120,000GPG
マカオオープン(?)120,000GPG
スペイン国際(?)(?)IC

何がどう変わったのかを大雑把に言いますと
・SSFをレベル1とした(SSPよりはっきり上と位置づけた)
・SSPの5大会から3大会を選びレベル2とした
・レベル2から漏れたSSP2大会とSSの上位3大会をレベル3とした
・レベル3から漏れたSS4大会とGPGの上位3大会をレベル4とした
・レベル4から漏れたGPGのすべてにスペイン国際を加えてレベル5とした

その他いくつか気づいた点を言いますと
・SSファイナル500,000ドル増額
・ジャパンオープンは格が上昇、特に賞金は大きく上昇
・中国マスターズ(?)がSS相当のクラスへ復活(数年前までSSでした)
・韓国、オーストラリアが下降

レベルの改組の意図

 意図については会長のポール・エリク・ホイヤーは、ブランドイメージやテレビ放映での扱いをより良くするためというようなことを述べています。
 要はこれまでのSSプレミア5大会、SS7大会、そしてファイナルという形では、数も多くて世間もよく分かってくれないし、テレビも扱いが難しかったということでしょう。
 そこでまずSSファイナルをハッキリとビッグイベントとして打ち出す。それに次ぐ3大会を合わせてバドの4大大会だとすれば分かりやすいだろうということじゃないでしょうか。まあそれに加えて五輪/世界選手権があるんですけど、絞りこまれてスッキリしたのは確かです。

賞金について

 全体的に賞金は増加傾向のようなので良かったです。
 この賞金設定はちゃんとスポンサーが付いてくれるアテがあってのものだと信じましょう。

 [追記2018/01/08] → HSBC(香港上海銀行、イギリスに本店がある巨大銀行)でした。

 SSファイナルは賞金総額150万ドルですが、仮にシングルスで優勝すると150万ドル*8%=12万ドルが分配されます。110円/ドルとすると1,320万円です。
 ダブルスなら150万ドル*8.4%=12.6万ドル。110円/ドルとすると1,386万円。さらに2で割って693万円が各選手に入ります。
 バドとしてはこれまでに比べるとかなりの賞金ですね。

オーストラリア

 オーストラリアの扱いが悪くなりすぎなのですが、2017年のスディルマン杯はオーストラリアでやりますし、なにか腑に落ちない感じです。
 もしかしたらですがSSファイナルがドバイからオーストラリアに移るのかもしれないですね。まったくの憶測ですが。

[追記2018/01/08]
 → 正解は中国の広州でした。無念!


改訂版:ワールドツアー/スーパーシリーズの賞金総額一覧

・賞金等についてのまとめはこちら
・2015年版はこちら
・これまでの累積の獲得額は世界ランクに載っています。

順位選手国籍(種目)賞金額(USドル)
1タイ・ツーイン Tai Tzu Ying台湾(WS)271,025
2チェン・チンチェン Chen Qingchen中国(WD,XD)245,486
3リー・チョンウェイ Lee Chong Weiマレーシア(MS)171,500
4松友美佐紀 Misaki Matsutomo日本(WD,XD)151,618
5チェン・シウェイ Zheng Siwei中国(MD,XD)151,018
6高橋礼華 Ayaka Takahashi日本(WD)150,868
7ヤン・O・ヨルゲンセン Jan O Jorgensenデンマーク(MS)141,865
8山口茜 Akane Yamaguchi日本(WS)139,390
9コ・スンヒュン Ko Sung Hyun韓国(MD,XD)131,528
10スン・ジヒュン Sung Ji Hyun韓国(WS)128,750
11スン・ユ Sun Yu中国(WS)126,950
12ラッチャノク・インタノン Ratchanok Intanonタイ(WS)117,820
13クリスティナ・ペダーセン Christinna Pedersenデンマーク(WD,XD)117,219
14ヴィクター・アクセルセン Viktor Axelsenデンマーク(MS)114,675
15ソン・ワンホ Son Wan Ho韓国(MS)111,650
16プサルラ・ヴェンタカ・シンドゥ Pusarla Ventaka Shindhuインド(WS)109,985
17キム・ハナ Kim Ha Na韓国(XD)97,903
18ホー・ビンジャオ He Bingjiao中国(WS)97,715
19ティアン・ホウウェイ Tian Houwei中国(MS)96,020
20ゴー・V・シェム Goh V Shemマレーシア(MD)95,164
20タン・ウィーキョン Tan Wee Kiongマレーシア(MD)95,164
22ケヴィン・サンジャヤ・スカムルジョ Kevin Sanjaya Sukamuljoインドネシア(MD)94,433
23ユー・ヨンソン Yoo Yeon Seong韓国(MD、XD)92,543
24マーカス・フェルナルディ・ギデオン Marcus Fernaldi Gideonインドネシア(MD)89,468
25イ・ヨンデ Lee Yong Dae韓国(MD)86,878

・上は海外のバド情報サイトBadzineが集計・発表した2016年賞金ランキングです。
Tai Tzu Ying is badminton’s top prize-winner for 2016, with US$271,025
・ランキング(50位まで)
(.pdf)http://www.badzine.net/wp-content/uploads/Badzine-Top-50-Badminton-Prize-Winners-of-2016.pdf


全般

・個人に付くスポンサーマネーなどは含まれない賞金のみのランキングです。
・賞金の配分は5種目ほぼ均等でシングルスとダブルスはほぼ同じくらいの金額です。
・とはいえダブルスはそれを2人で分けることになるのでシングルスの約半分になります。
・ただしダブルスとミックスを兼任して両方で勝ち上がる選手は、2種目から賞金が入るので、シングルスの選手と遜色ない金額になります。じっさい2014年の1位は中国の女子トップでWDとXDを兼任するツァオ・ユンレイでした。

2016年のランキング

・1位はタイ・ツーイン(台湾WS)で27万ドル。
・昨年1位でリオ五輪金メダリストのチェン・ロン(中国MS)は40位。
・昨年2位で同じくリオ五輪金メダリストのカロリナ・マリン(スペインWS)は50位圏外。

・上位が軒並み順位を落としているのは賞金よりリオ五輪に向けた調整を重視したせいでしょうか。五輪の名誉を取ったとも言えますし、五輪で勝てば賞金とは別のところからお金もいっぱい入ってくるでしょうから、結局は収入の面でも合理的な行動とも言えるでしょう。
・賞金総額じたいは増えているので、広く下位まで賞金が行き渡ったことになります。
・2017年は総額は4%増えるとのこと。

・松友、高橋は15万ドルほど。2人に分ける前の金額では1位のタイ・ツーインを超えます。松友がちょっと上なのはXDの分でしょう。
 ↑左から、ジア・イーファン、パン・リ(コーチ)、チェン・チンチェン。
 2016年はSS6勝、GPG6勝と大暴れし、SSファイナルでもダブル達成した。
 2017年はWDで世界選手権を勝っている。

・XDも含めてダブルスで稼いでるのが2位のチェン・チンチェン(中国、19歳)。WD、XDの"ダブルダブルス"で2014年の1位は中国のツァオ・ユンレイでしたが、リオ五輪を最後に引退しました。チェン・チンチェンは中国ダブルダブルスを襲名した形。

・日本からは山口茜もトップ10にランクイン。リオ五輪後のSS2勝が大きい。
・リオ五輪銅メダルの奥原希望はケガもあり、賞金は48位と振るわなかった。
・男子は2016年終盤になって勝ち始めた園田/嘉村が42、44位。
 

 [追記]
 2018年から大会のクラス分けに変更があり、2017年までSSとされた大会はレベル3とレベル4に振り分けらます。ジャパンオープンは賞金も倍増し、めでたく上の方のレベル3とされることになりました。
 詳細は「BWF、2018年から国際大会の格付け・賞金に大きな変更 2017-03-19」を参照。

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[要約]
・トップ選手たちがどのSSに出場したか調べました
・それに基づいた当ブログ独自の計算では、ジャパンオープンはSS7大会中3位
・賞金10万ドルあたりの集まりの良さでは1位となった


 毎年のスーパーシリーズ(SS)は

 SSファイナル 1大会
 SSプレミア 5大会
 SS 7大会

 から成ります。ジャパンオープンはこのSSの7大会の一つですが、その中での格はどうなっているのでしょう?
 単純に賞金によるとジャパンオープンの格はSSの中でも低いのですが、賞金だけでは選手は動いていません(今のところは)。また獲得できるランキングポイントはSSの中では同じです。いったいトップ選手たちはどのSSに出場していたのか?気になったので調べました。

 以前に賞金一覧のページのコメント欄にも書いたのですが、私のヨネックス・オープン・ジャパンに対するイメージは「賞金の割に選手の集まりはいい」というものです。

 というか、数ヶ月前にこのブログを書き始めるまで賞金とか気にしたこともなかったので、ただ漠然と「選手の集まりは悪くないんじゃないの」と思っていました。ちなみにこのブログでも一番アクセスがあるのが賞金の記事でして、賞金に対する世間の注目は高いようです。

 もちろんジャパンオープンの賞金が高くなって、それによって上位選手が多く来てくれることに越したことはありません。

 さて賞金の割に選手の集まりはいい(?)理由は、バド界の大メジャーであるヨネックスの契約選手がいっぱい来てくれるからとか、親日的なインドネシアやマレーシア勢もよく来てくれるからではないかと思います(あまり親日だ反日だと話を単純にするべきではありませんが)。
 中国勢も政治的にギクシャクしてなければ来てくれるんですが、尖閣問題のときは中国勢はほとんど来てくれませんでした。それが今はリン・ダンもヨネックスユーザーになっていますし。

[オーストラリアオープン]

↑ 2014年 オーストラリアオープンMS決勝(ハイライト)
リン・ダンvsシモン・サントソ

この年オーストラリアはSSに昇格しリン・ダンとアクセルセンが出場。
またオーストラリア代表のグローニャ・サマヴィル(Gronya Somerville)が清末の政治家、康有為の曾孫であることも話題になった。
そして現在の冠スポンサーは厦門航空(Xiamen Air)である。
中国はオーストラリアを重視しているのかもしれない。

調査方法

 対象はリン・ダンリー・チョンウェイチェン・ロンアーサン/セティアワンイ・ヨンデ/(コ・スンヒュン~)ユー・ヨンソンボー/モゲンセンとしました。出場したものは○、エントリーしていても棄権した場合は×としました。
 女子はここ数年、上位の序列があまり固定していないので、選ぶのが難しくて見送りました。

 ランキング上位を集計して機械的に決めようと思ったのですが、それだとリン・ダンのランクが低い時期があったりして面倒なんですよね。リン・ダンが来てくれるかどうかは大きいでしょう。

2013年LDLCWCLAHS
/SET
LYD
/KSH
BOE
/MOG
インド×××3
シンガポール××××2
オーストラリア××××2
日本××4
韓国×5
フランス×××3
香港××4

*1 オーストラリアはこのときまだGPG。
*2 フランスからLYD/YYSのペアになる。

2014年LDLCWCLAHS
/SET
LYD
/YYS
BOE
/MOG
インド×××3
シンガポール××××2
オーストラリア×××××1
日本××4
韓国××4
フランス×××××1
香港×××3

2015年LDLCWCLAHS
/SET
LYD
/YYS
BOE
/MOG
インド××××2
シンガポール×××3
オーストラリア××4
日本6
韓国×5
フランス×5
香港6

2016年LDLCWCLAHS
/SET
LYD
/YYS
BOE
/MOG
インド××××2
シンガポール××4
オーストラリア××××2
日本×××3
韓国
フランス
香港


集計結果

順位大会総得点対象年数平均得点2016年
賞金総額
選好度
1韓国143年4.6760万ドル0.78
2香港133年4.3335万ドル1.23
3日本174年4.2530万ドル1.42
4フランス93年3.0030万ドル1.00
5シンガポール114年2.7535万ドル0.79
6インド104年2.5030万ドル0.83
7オーストラリア94年2.2575万ドル0.30

 順位は平均得点(総得点÷年数)によりました。
 また選好度=平均得点÷2016年賞金総額×10万です。10万ドル当たりで何点取ったか、つまりは賞金に対して集まりの良さを表す…はずです。

 日本は平均得点3位、選好度では1位でした。
 あまりにも都合のいい数字が出て笑ってしまったw

 「ジャパンオープンは賞金の割にトップ選手がいっぱい来る」という俺のイメージは数字で確かめられた!…と言うにはかなり粗い作りなので、もっとデータを増やせば話は変わってくるかもしれません。特にオーストラリアにはちょっと酷だったかも。もっと正確にやろうと思えばいくらでもやれるでしょう。

 で、もっといろいろやろうとしたのですが、そんなに一生懸命になるほど大事なことだろうか?と疑問が湧いてきたので、とりあえずここで止めます。データはちょこちょこ追加してみるかもしれません。終わり。


[改良すべき点]
・ケガで長期離脱、ドーピングに引っかかって出られなかったということがありました。これをどうするか。上では無視してます。
・選手の選び方が恣意的。たとえばMS~XDの各世界ランク上位10人の出場によって機械的に計算する方法がよいかもしれない。またランク1位選手が来たら5点、2位なら4点…などとして集計する方法があるかもしれない。ただし点の付け方は難しい。
・2016年の賞金で一括したが、年ごとにちゃんと出したほうがよい。ただ結果はあんまり変わらない気がします。

[余談]
・賞金に加えてヨネックスが契約選手に支払っている報酬を含めたら、結局選手たちも金で動いている(ヨネックスがスポンサーをしている大会には出るから)という結論が導かれるかもしれません。しかしそれはヨネックスに限ったことでもないでしょうし、話は面倒なことになって来ます。
・そもそも五輪や世界選手権は賞金がないのにみんな参加します。しかし金メダリストは相当儲けられるでしょうからカネは後からついてくると言える…。
・要するに私もわけがわからなくなってきたので、単純に賞金と参加の関係を見て終わりにしときます。将来賞金が上がれば選手の動きはもっと分かりやすくなるのかも。

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