リー・チョンウェイ公式Facebookから(原文は英語)

https://www.facebook.com/leechongweiofficial/photos/pb.231725927025367.-2207520000.1560430038./1059746614223290/?type=3&theater

家族ぐるみの親友たち、そしてファンのみなさん、僕の人生を織りなしてきたみなさんへ。本当に心からありがとう。

数ヶ月前、みなさんご存知の通り僕はガンに侵された。僕はガンと戦った。そして僕は本当によく戦ったと思う。もう一度バドミントンに挑戦できるものと思っていた。

僕はバドミントンを愛し、そして母国を愛する一人の人間にすぎない。後悔しながら引退することを恐れていた。これまで何度もあと少しのところで掴み取れなかったオリンピックの金メダルをマレーシアに持ち帰れないことが怖かった。だからガンから回復したときもう一度ラケットを手にして練習を始めたのだ。

数日の軽いトレーニングのあと、トレーニングの強度を上げよいか医者に許可をもらおうとしたときに、大きな問題にぶつかった。スキャンの結果を見た医者は首を振り、練習を続ければ再発のリスクに直面するかもしれないと言って許可しなかったのだ。(妻のウォン・)ミューチューは泣き崩れていた。僕が頑固にも夢を追って練習を続けるかもしれないと恐れていたからだ。

僕は途方に暮れてしまった。「20年近くもバドミントンの世界で戦ってきた自分がここでラケットを置いたらどうなってしまうのだろうか?オリンピックの夢はどうなる?」

そんな自分も家に帰ればキングストンとテレンスという2人の息子の面倒を見ている。お風呂に入れて、ご飯を食べさせて、バドミントンも教えたりして、息子たちと一緒のときを過ごしている。何よりも大事なのは息子たちの成長を見守ってきたことだ。

そのことに不意に思い至ったとき、僕はついに決心した。あまり自分勝手ではいけない。僕は自分のために、母国のためにプレーを続けてきたが、今度は父親としての役割を長い長い時間をかけて果たそうと思う。彼らが一人前の男に育ち、結婚し、子供が生まれるのを見たい。一緒に歳を取っていく妻のことも大事にしよう。

そう、だから僕は引退する決意をした。申し訳ないが今回は東京オリンピックには行けないことになった。そして金メダルを持ち帰ることもできなくなった。しかし自分はベストを尽くしてきたのだから後悔はない。本当にできる限りのことをやったのだ。

みなさんが僕を力づけてくれたように、リー・チョンウェイの名が何らかの形でみなさんを力づけられればと思う。家族やチームメイト、コーチ、そしてサポーターのみなさんがいなければ自分は何も成し遂げられなかっただろう。

これまで戦ってきた選手たち、リン・ダン、タウフィック・ヒダヤット、ピーター・ゲード、イ・ヒュンイルといったみなさん、そう、僕は引退することにした。素晴らしい戦いをありがとう。僕たちの時代は素晴らしいものだったが、その時代も終わるときが来たようだ。桃田賢斗、ヴィクター・アクセルセン、シー・ユーチー、リー・ジージアといったみなさん、ぜひともバドミントン界を盛り立てていってほしい。バドミントンという世界一素晴らしいスポーツを世に知らしめてほしい。

マレーシアのバドミントン選手のみなさん、夢をあきらめないで。本当に数多くの人達があなたたちの成功を祈っていることを忘れないでほしい。毎日より厳しい練習に励んでほしい。昨日の記録を超えて行くような練習を続けてほしい。そして選手生活は短いものだから後悔しながら終えることのないように。みなさんのことをスーパーヒーローだと思っている子どもたちをがっかりさせないように。国旗のために、国歌のために戦ってほしい。

僕は何一つ後悔はしていない。バドミントンを始めた頃、僕はただマレーシアのために戦うことができればとだけ願っていた。そして自分はプライドと名誉をもってそのことを果たしたと信じている。

さて、ここらで終わりとしよう。
みんな本当にありがとう。
リー・チョンウェイ

試合動画など

[↑ 五輪公式動画字幕から]
「敵ではなくライバルとして

リー・チョンウェイ(マレーシア)とリン・ダン(中国)はバドミントン史上もっとも素晴らしいライバル関係を築いてきた。二人はバドミントン史上最も優れた選手たちと目されてきたが、過去3度の五輪を含め、何年もの間数え切れないほどのトーナメントで決勝を戦ってきた。

2008年北京五輪:二人は決勝を戦いリン・ダンが母国で勝利を収めた。
2012年ロンドン五輪決勝:再び決勝を戦い、信じられないほどギリギリの戦いを制したリン・ダンが再び中国に金メダルを持ち帰った。
2016年リオ五輪:リー・チョンウェイとリン・ダンは準決勝で再び歴史に残る試合を戦い、今回はチョンウェイが勝ち決勝に歩を進めた。
この友人たちはお互いに敬意を示しながら、抱き合い、シャツを交換した。

リオでの試合が五輪での二人の最後の戦いになったようだ。
彼らの素晴らしいライバル関係と驚くべき戦いは永遠にオリンピックの歴史の一部であり続けるだろう。」

「世界中の素晴らしいお父さん・パパたちへ、父の日おめでとう。自分にお疲れ様を言ってください。父親を務めるのは本当に大変ですね。2人の息子たちとおもちゃで遊ぶのはクー/タンやタン・ウィーキョン/ゴー・V・シェムとダブルスをプレーするのと同じくらい難しいです。お父さんたちみんな頑張って!」

2011年 全英オープン
MS決勝 vsリン・ダン(中国)

リン・ダンには五輪・世界選手権で阻止されまくりましたがこれは勝ちます!

2011年 世界選手権(ロンドン)
MS決勝 vsリン・ダン(中国)


2012年 ロンドン五輪
MS決勝 vsリン・ダン(中国)


2013年 世界選手権(広州)
MS決勝 vsリン・ダン(中国)


2014年 3月 全英オープン
MS決勝 vsチェン・ロン(中国)

画像が荒れるところが少しありますがこれも勝ちます。

2015年 中国オープン
MS準決勝 vsリン・ダン(中国)

アウェイである中国オープンを制したときのもの。決勝はvsチェン・ロン。

2016年リオ五輪
MS準決勝 vsリン・ダン(中国)
 
これまで幾度となくチョンウェイの世界チャンピオンの座を阻止してきたリンダン。
2016年リオ五輪では準決勝での対決となった。

2017年3月 全英オープン
MS決勝 vsシー・ユーチー(中国)

ユーチー、桃田、アクセルセンら、生きのいい次世代若手たちと最後まで互角以上に渡り合った大ベテラン、チョンウェイ。

2018年6月 マレーシアオープン
MS決勝 vs桃田賢斗(日本)
 
最後の母国オープン。キャリア晩年を飾る好ゲームとなった。

2018年7月 インドネシアオープン
MS準決勝 vs桃田賢斗(日本)
 
この試合が結果的にキャリア最後の公式試合となった。

Tournament Softwareの集計ではMS生涯成績は848戦713勝135敗(勝率84%)。
世界ランキング1位トータル348週。約6年半1位に君臨していたということになる。

上に挙げたような特に重要な大会の動画だけからはあまり伝わらないが、個々の大会を疎かにせず本当にいつも勝っていたのがチョンウェイである(もっともマレーシアメディアなどのプレッシャーがもの凄く、勝ち続けることを義務付けられた結果、重要な試合でのコンディションが…という説はあるのだが)。